肝臓
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興味ある経過を示した亜急性肝炎の1例
野口 雄司林田 研司谷岡 一鈴山 純司川本 充三島 致衍田中 義人牧山 和也原 耕平山口 義彦三宅 清兵衛西畑 伸二
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1986 年 27 巻 12 号 p. 1720-1727

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抄録

症例は17歳女性.意識障害,黄疸,糖尿病を主訴として入院した.入院時の理学的所見では全身の黄疸と傾眠傾向を認め,入院時検査でプロトロンビン時間の延長,総ビリルビンの上昇,著明な尿糖,空腹時血糖の上昇が認められた.その意識障害の出現時期と併せ考えI型糖尿病と合併した亜急性肝炎と診断した.入院後,血漿交換などの種々の治療にも拘わらず意識障害が遷延化し,糖尿病のコントロールも困難な状態が続いたが,約3カ月後になって,肝機能は改善傾向を示し,6カ月後にはほぼ正常化して,糖尿病もコントロール可能となった.
しかし,本患者はこのほか原発性甲状腺機能低下症も合併しておりその多彩な病態から興味ある症例と思われたので,文献的考察を加えて,ここに報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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