肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
Cruveilhier-Baumgarten症候群を伴った先天性肝線維症の1例
岡島 存男菅野 茂男石井 耕司山室 渡住野 泰清古河 一男伊東 高仁安部井 徹
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 12 号 p. 1744-1750

詳細
抄録

症例は32歳男性,吐血を主訴に入院,食道静脈瘤破裂と診断された.既往歴,家族歴に肝疾患はない.血液生化学的検査で肝障害は認められなかった.各種画像診断で,肝脾腫と,Umbilical portionから発達した側副血行路が上腹部を上行し,数各の細い胸腔内静脈に移行しているのが認められた.さらに,剣状突起部に最強点を有する連続性静脈性雑音が聴取され,Cruveilhier-Baumgarten症候群(C-B症候群)を呈していた.特発性門脈圧亢進症(IPH)の診断で食道離断,及び摘脾術が施行された.しかし,肝病理組織像は,グリソン鞘中心に,増生した胆管を含む線維帯が発達し,先天性肝線維症(CHF)に一致した.本例には高率に合併する嚢胞腎は認められず,病理組織像のみがIPHと鑑別し得る所見であった.われわれの調べ得た限りでは,CHFの本邦報告例は31例と少なく,C-B症候群との合併例は,欧米例を含めても本例が3例目であった.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top