肝臓
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ヒト肝癌由来培養細胞(PLC/PRF/5)に対する各種ヒトインターフェロンの細胞増殖抑制効果に関する検討
岡井 高
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1986 年 27 巻 2 号 p. 199-207

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抄録

ヒト肝癌由来培養細胞(PLC/PRF/5)に対する各種ヒトIFN (α,β,γ)の細胞増殖抑制効果(antiproliferative effect,以下APE)について比較検討した.各IFNのAPEは,細胞の増殖速度と密接な関連を有し,いずれも増殖速度の速い細胞程APEが増強される傾向を示した.また,各IFNともIFNの添加時間に依存してAPEが増強する傾向を示し,特にIFN-α,βにおいては,添加2日目と6日目との間でAPEに有意の差が認められた(p<0.005).各IFNを500単位/ml 6日間添加後の細胞の生存率は,IFN-βで2.8%と最も低く,次いでIFN-α(8.9%), IFN-γ(77.3%)の順に低下し,IFN-α,βではコントロールとの間に有意の差が認められた(p<0.05).この効果を細胞形態の面より検討すると,IFN-α,βではcytolyticに,IFN-γではcystostaticにに作用する可能性が示唆された.また各IFNともAPEと平行してAFP産生能を抑制した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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