27 巻 (1986) 6 号 p. 770-780
マロリー小体(MB)の形成機序を明らかにする目的でgriseofulvin (gf)をマウスに投与し,肝の経時的な光顕的,電顕的検討を行い,同時に0.5% Triton X-100を門脈より灌流し細胞骨格の変化を観察した.光顕的にはgf投与早期より胆汁鬱滞とポルフィリン体の出現を,投与3カ月よりMBの出現をみた.電顕的には毛細胆管の拡張,微絨毛の消失と,毛細胆管周囲のマイクロフィラメントと中間径フィラメントの増加をみたが,微小管の変化は明らかにし得なかった.初期のMBでは細線維と顆粒状構造物が不規則に配列し,周囲にはRER,リボソーム,ゴルジ装置,糸粒体を認めた.中間径フィラメントは細胞質に網目状に分布し,gf投与により著しい増加と集族を認め,MBの細線維との接合を認めたが,両者の形態的移行像は見られなかった.以上より,MBは中間径フィラメントの増加と軌を一にした,gfによる病的keratinizationの結果として出現するものと推定した.