肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
著明な低酸素血症をきたし肺内動静脈シャントの存在が考えられた肝硬変症の1例
國土 典宏三條 健昌梅北 信孝高橋 周二伊藤 徹川崎 誠治柴山 和夫針原 康小山 広人坂本 裕彦出月 康夫
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 6 号 p. 816-821

詳細
抄録

著明な低酸素血症をきたし肺内動静脈シャントの存在が大きく関与していると考えられた肝硬変症の1例を報告する.症例は60歳男性.大酒家で55歳頃より労作時の息切れを感じていた.56歳で吐血.発赤所見(+)の食道静脈瘤を認めたが肝機能不良で低酸素血症も見られたため内視鏡的硬化療法を施行した.昭和60年1月19日静脈瘤増悪のため当科に再入院した.入院時チアノーゼが著明でバチ状指をみとめ,息切れのため10m以上の連続歩行が不能であった.大気吸入時動脈血酸素分圧は47mmHg,肺生理学的シャント率(Qs/QT)は20.1%であった.心奇型はなく,99mTc-MAAによる肺血流シンチグラムでは脾,腎,甲状腺,脳に取り込みが見られ,肺内の右→左シャントの存在が考えられた.シャント率は57%と算出された.2月6日,14日に内視鏡的硬化療法を施行した.2月19日退院後,低酸素血症による日常生活の制限はかなり強いが保存的に経過観察中である.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top