27 巻 (1986) 7 号 p. 934-944
合成発色基質を用いた定量的なリムルステストを用いて,肝疾患における血中及び腹水中のエンドトキシン(Et)を測定し,その臨床的意義について検討した.慢性肝炎,代償性肝硬変,及び腹水を伴わない肝細胞癌では全例血中Etは陰性であった.腹水の出現する非代償期においては52%の症例において軽度のEt血症が検出された.しかし,従来の報告に反して腹水中には全くEtを検出できなかった.急性肝炎,肝硬変を問わず,DICや腎不全を合併する肝不全状態においては高率にかつ高度のEt血症が出現し,そのような症例は予後不良であった.肝細胞癌の場合も肝硬変におけると同様に,肝不全の進行に伴ってEt血症が出現した.非代償期における腹水の出現,肝不全状態におけるDICや腎不全の合併とEt血症の間には密接な関係が認められたが,Et血症が果してこれらの病態の原因なのか,あるいは単なる随伴現象にすぎないのか,目下のところ不明である.