肝臓
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持続的局所熱希釈法による各種肝疾患の奇静脈血流量測定の検討
金沢 秀典松坂 聡多田 教彦黒田 肇小林 正文
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1986 年 27 巻 8 号 p. 1132-1140

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抄録

各種肝疾患の奇静脈血流量(ABF)を持続的局所熱希釈法により測定した.急性肝炎回復期例,慢性肝炎例,肝硬変例のABFは各々,82±13, 165±12, 247±19ml/min/mm2であり各群間に有意差を認めた.ABFは心拍出量,門脈圧と有意な正の相関を,また,有効肝血流量と有意な負の相関を示したが,食道静脈瘤とは明らかな関係を示さなかった.SengstakenBlakemore tubeによるタンポナーデにてABFは急速かつ明らかな低下を示した.propranolol, metoclopramideはABFを有意に低下させた.propranololによるABF低下率は,心拍出量,肝血流量の低下率にくらべ有意に大きかった.metoclopramideは全身・肝血行動態に変化を与えず,ABFのみを有意に低下させた.
ABFは胃食道静脈系を介する上行性副血行路の血流量を反映すると考えられ,門脈圧亢進症における新しい検査法として有用と思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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