肝臓
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食道静脈瘤に対する直達手術の門脈血行動態に及ぼす影響
斉藤 正之大西 久仁彦田中 秀雄佐藤 慎一奥田 邦雄平島 毅原 輝彦
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1986 年 27 巻 8 号 p. 1141-1146

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抄録

肝硬変症69例,特発性門脈圧亢進症29例を対象として,食道静脈瘤に対する直達手術が,門脈血行動態へいかなる影響を及ぼすか検討した.門脈血流量は,2~5年前に直達手術を受けた肝硬変症14例,特発性門脈圧亢進症9例共に,非手術例の肝硬変症49例,特発性門脈圧亢進症17例に較べ有意に減少していた.肝硬変症5例,特発性門脈圧亢進症3例で,術前,術直後の門脈圧を測定し,またこれらの症例と肝硬変症1例を加えた計9例で術前と術後2週間目の門脈血流量の変動を検討した.術直後測定した門脈圧は,肝硬変症5例中2例で上昇,2例は下降,1例が不変であった.特発性門脈圧亢進症では,2例で減少し,巨大脾腎短絡路及び胃腎短絡路を有する1例は増加していた.術後2週間目の門脈血流量は,肝硬変症全例で減少し,特発性門脈圧亢進症では,門脈圧が術後下降した例では減少し,上昇した1例では増加していた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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