肝臓
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症候性および無症候性原発性胆汁性肝硬変の臨床像の比較検討
合併疾患に関する検討を含めて
山崎 潔鈴木 一幸三浦 義明石川 和克柏原 紀文斑目 健夫佐藤 俊一増田 友之武田 泰典
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1986 年 27 巻 9 号 p. 1272-1280

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC) 23例の臨床像を,症候性例(s-PBC) 15例,無症候性例(a-PBC) 8例に分け比較検討した.年齢,観察期間,組織像には差が認められなかった.生化学的検討では,s-PBCはa-PBCに比し,GOT, γ-GTPが有意に高値であった(p<0.05).免疫学的検討では,抗ミトコンドリア抗体高力価例が,s-PBCに有意に高率であった(p<0.05)が,免疫グロブリン値,末梢血リンパ球サブセットに有意差は認められなかった.合併疾患の検討では,Sjögren症候群(SjS)が主たる合併疾患であり,55%に乾燥症状が認められた.同症状はs-PBCに有意に高率に(p<0.05)出現していたが,SjSに特異的とされる抗SS-A, SS-B抗体の陽性例が存在しない点が注目された.乾燥症状の有無によりs-PBC, a-PBCそれぞれの臨床像に有意の差は認められなかった.SjSがPBCの臨床像に影響を与えるか否かについては,SjSの診断が必ずしも容易ではないことから,今後とも充分な検討が必要である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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