肝臓
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各種肝疾患におけるリンパ濾胞形成の意義-臨床病理学的検討を中心に-
西川 温博
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1987 年 28 巻 11 号 p. 1428-1438

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抄録

最近7年間に当科および関連病院で施行した肝生検3,000例を対象に門脈域におけるリンパ濾胞形成を光顕的に観察した結果,495例(16.5%)に肝リンパ濾胞を認めたが,多くは非B型慢性肝炎に伴ったものであった.このうち,肝リンパ濾胞の好発を認めた141例を抽出詳細な臨床病理学的検討を行ったが,131例(93%)はHBs抗原陰性で輸血や何らかの手術の既往,高γ-globulin血症を伴う例が多くみられた.しかし,自己抗体陽性率は対照群と比し有意な差は認めなかった.組織学的検討では肝リンパ濾胞は慢性肝炎活動性のみならず,非活動性や炎症所見の軽度の症例にも多くみられ,経時肝生検によって観察し得た25例では組織像の進展,増悪は軽度であった.また,濾胞内の胆管にはしばしば変性,破壊像を認めた.さらに,免疫組織学的な面から,濾胞構成細胞のphenotypeを検討した結果,中央にB-cellの集簇を認め,リンパ節と同様の構造を呈していた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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