肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
原発性胆汁性肝硬変の臨床病理学的研究
自験69例による解析
渡辺 悟志
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 29 巻 1 号 p. 36-46

詳細
抄録

過去19年間に経験した原発性胆汁性肝硬変66例,CAH-PBC mixed type 3例の計69例について,臨床病理学的検討を行なった.PBCの65.1%は中年女性であった.症候性PBCは皮膚掻痒感や黄疸から,無症候性PBCは健康診断を契機に発見される場合が多かった.初診時本症の80%以上の症例に異常をきたした検査項目は赤沈,ALP, IgMであった.また抗糸粒体抗体はPBC以外の肝疾患にはほとんど出現せず本症に比較的特異的に出現する抗体であった.症候性PBCの64.5%が死亡したのに対し,無症候性PBCの死亡は11.4%と少数で,しかも無症候のまま経過している症例が77.1%と大部分であったことから,無症候性PBCの中には症候性PBCとは異なった疾患概念の存在することが推察された.家族調査からPBCの遺伝的関連は余り強くないことが推定された.CAH-PBC mixed typeはその病状進展が速く,従来のPBCとは異なる病態であることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top