29 巻 (1988) 2 号 p. 230-240
肝硬変性食道静脈瘤症例65例に対し経皮経肝門脈造影を施行し供血路を検討した.短胃静脈の発達した12例(18%)においては,胃小彎側より上行する食道静脈瘤は左胃静脈から,胃大彎側より上行する食道静脈瘤は短胃静脈から主に血液の供給をうけていた.更に食道静脈瘤に対し内視鏡的硬化療法を行った20例に治療前後で左胃動脈造影及び門脈造影を施行し副血行路の変化を検討した.旁食道静脈の存在した8例では,治療後も血行動態に変化はなく旁食道静脈が胃上部の血液の流出路となり,旁食道静脈のない症例では治療後は左胃静脈の流れが求肝性に変化し胃上部の血液の流出路となっていた.左胃動脈造影は硬化療法後の効果判定や胃上部の血行動態把握に有用な方法であり,また,硬化療法を施行する際には旁食道静脈や食道静脈瘤への供血路は硬化療法後のDrainage Veinとしてできるだけ温存した方がより生理的と思われた.