肝臓
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急速凍結・ディープエッチングレプリカ法によるファロイジン投与肝の肝細胞骨格の研究
楢本 敦彦
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1988 年 29 巻 3 号 p. 365-376

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抄録

ファロイジン(Ph)投与による肝内胆汁うっ滞では,肝内毛細胆管周囲にアクチンからなるマイクロフィラメント(MF)が著増することが知られている.急速凍結・ディープエッチングレプリカ法により,Ph投与肝についてMFを中心とした肝細胞サイトスケレトンを観察したので,超薄切片電顕像と比較して報告する.Ph投与1週後では,毛細胆管及び肝細胞境界部に増加するMFの三次元構造が明瞭に観察できた.フィラメントの直径は約7nmで,網目状に増加しており,細胞膜に直接端側結合していた.Ph投与4週後では,毛細胆管周囲性MFの外側に増加する束状の中間径フィラメント(IF)を認め,長期胆汁うっ滞に対する反応性の増加と考えられた.Ph投与により増加したMF層が,毛細胆管への胆汁分泌障害になると共に,IFを主とする肝細胞サイトスケレトンの再構築を招来したと思われ,これらが種々の細胞内小器官の構造や配列に変化をきたした原因と考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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