肝臓
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組み換え型インターロイキン2によるe抗原陽性B型慢性肝炎に対する治療成績について
寺田 光宏鵜浦 雅志松下 栄紀稲垣 豊金子 周一小林 健一服部 信
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1989 年 30 巻 11 号 p. 1571-1577

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抄録

e抗原陽性B型慢性肝炎20例を対象に,r-IL2点滴静注の治療成績を,250U.4W投与群10例,750U.4W投与群10例の2群に分け検討した.e抗原e抗体系の変化では,250U及び750U投与群でそれぞれ1年6ヵ月後にe抗原消失を20%,60%に認め,e抗体出現は各々10%, 30%であった.また,e抗原消失群は非消失群に比し年齢が若く,投与中前値に比し一過性の有意なGPTの上昇とDNA-Pの減少を認めた.副作用としては,発熱,全身倦怠感,食欲不振,頭痛,下痢,リンパ球・好酸球増多を一過性に認めたが臨床的に問題となるものは認めなかった.以上より,e抗原陽性B型慢性肝炎に対するrIL-2療法は有用な治療法であり,投与法は750 U.4Wが適当と考えられ,対象としては,若年で,投与1,2週でシューブを起こし,その後DNA-Pの有意な減少を認める症例に対し有効であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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