HBe抗体陽性HBVキャリア妊婦から出生し,慢性肝障害をきたした姉弟例を経験した.姉は生後2カ月からB型肝炎ウイルスによると考えられる重症肝炎を発症したが,HBs抗体出現後も中等度の肝機能障害が1年間持続した.分娩時に母親からB型肝炎ウイルスと非A非B型肝炎ウイルスの重複垂直感染を受けた可能性が示唆された.弟はB型肝炎の垂直感染防止のため生直後にHBIGを投与されたが,生後2カ月から11カ月間,肝機能障害が持続した.生後8カ月からHBs抗体の上昇およびHBc抗体の再上昇がみられた.非A非B型肝炎ウイルスがB型肝炎の潜伏期を延長した可能性も考えられた.