30 巻 (1989) 4 号 p. 496-501
42歳男性.飲酒歴清酒換算3~5合/日×20年間.6年前,アルコール性肝障害およびB型肝炎ウイルスキャリアと診断されたが放置.昭和62年8月10日ごろより食事を殆ど摂取せずに1日清酒約10合の飲酒を続けた.同年9月11日,全身倦怠感,悪心,嘔吐,腹痛を訴え入院.黄疸,発熱,著明な肝腫大,右季肋部圧痛と顔面および下腿の浮腫を認め,諸検査の結果からアルコール性肝炎と診断した.また腹部超音波検査で肝内に多発性のhyperechoic noduleを,腹部CTでは肝内に多発性のlow density areaを認めた.肝腫瘍を疑い精査したが,腹腔動脈造影では腫瘤陰影を認めなかった.禁酒と安静加療により肝機能は急速に改善し,入院1ヵ月後肝内腫瘤像は完全に消失した.以上より,アルコール性肝炎に併発した限局性脂肪肝と考えられた.