肝臓
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アルコール常用者にみられたアセトアミノフェンによる急性肝不全の1例
清水 勝時田 元越野 陽介星山 直基山田 昌夫高橋 善弥太西川 佳秋
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1989 年 30 巻 6 号 p. 690-694

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抄録

アセトアミノフェン大量服用による急性肝不全はよく知られている.今回著者らは40歳,女性のアルコール常用者が,アセトアミノフェン4.8g(セデスAR錠60錠)をアルコールとともに服用し,急性肝不全で死亡した1例を経験した.剖検肝重量は750g,広汎性部位により亜広汎性肝細胞性壊死が存在し病理学的に急性肝萎縮と診断された.本例の服用アセトアミノフェン量は4.8gと比較的少量であるが,急性肝不全をきたした原因として,1)アルコール常用者であったこと,2)アセトアミノフェンがカフェインとの合剤で服用されておりその相互作用が考えられ文献的に考察した.アセトアミノフェンの使用にあたっては,予想以上に重篤な肝障害発生の危険もあり注意が必要である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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