急性肝不全に合併する脳浮腫の発生機序について血液脳関門のエネルギー代謝の面から明らかにする目的で,肝不全ラット(D-galactosamine肝障害;D-GalNおよび急性虚血性肝不全;AIHF)より単離した脳微小血管(BMV)におけるグルコース(Glu)およびパルミチン酸(Pal)の酸化能について検討した.D-GalN肝障害,AIHFいずれにおいてもGluの酸化能は対照群に比し有意に低下していた.一方,2-deoxy D-glucoseの取り込みはAIHFではむしろ増加していた.さらに,AIHFではPalの酸化能も対照群に比し有意に低下していた.また,正常ラットより単離したBMVでも,AIHFより得られた血清,とくに分子量1万以上の分画を添加してincubateするとGluの酸化能は対照血清添加群に比し有意に低下した.以上より,急性肝不全時には,BMVのエネルギー代謝が明らかに障害され,さらにこの障害が血中のcirculating toxinsによってもたらされる可能性が示唆された.