肝臓
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実験的総胆管-静脈瘻ラットにおける胆汁成分の動態に関する基礎的検討
肝内胆汁うっ滞モデルとしての可能性
福本 陽平安藤 正也山下 智省白沢 宏幸田中 裕子黒川 典枝澤 明彦小西 知己沖田 極竹本 忠良池上 二郎
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1989 年 30 巻 9 号 p. 961-968

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抄録

総胆管-静脈瘻を作成後6,12,18,24時間目に血液,胆汁,肝組織片を採取し,胆汁成分の血中での停滞と胆汁中への排泄について,基礎的な検討を行った.実験にはラットを使用し,胆汁が静脈血中に流入するように,皮下を通して総胆管と頚静脈を細径チューブで連結した.瘻術後24時間目の血液生化学検査では,胆汁うっ滞と同様の所見が認められたが,肝の病理組織学的な変化は軽度であった.瘻術後6時間目ですでに胆汁量は増加し,流量は胆汁中への胆汁酸,重炭酸の排泄量とよく相関したが,ピリルビンとは相関しなかった.血中胆汁酸値はピリルピンよりも早期に上昇し,その上昇は胆汁中排泄量の増加と並行した.しかし,血中ビリルビン値は段階的に増加し,瘻術後24時間目には,胆汁中への排泄量の増加が,血中での上昇に対応できなかった,瘻造設後24時間目のモデルは,血液生化学的に実験的肝内胆汁うっ滞類似病変として利用できると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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