肝臓
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肝細胞の極性形成におけるデスモソームと中間径フィラメントの役割
森本 道雄岡上 武伊藤 義人太田 正治太田 義治岡 正直長尾 泰孝香川 恵造加嶋 敬
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1990 年 31 巻 11 号 p. 1249-1253

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抄録

コラゲナーゼ灌流法で肝細胞を単離,培養開始後,経時的にサイトケラチン(CK)とデスモプラキン(DP)の存在様式を蛍光抗体法で観察した.また,detergent処理した非包埋試料を用い,免疫電顕による検討も行った.単離直後,肝細胞は球形で個々ばらばらに存在し,培養12時間後までは毛細胆管の形成,DPの局在はともに明らかでなかった.培養24時間後,肝細胞は隣接する細胞間で広い範囲で接着し,CKの染色では毛細胆管と考えられる管腔を形成していた.この時,細胞間,毛細胆管周囲にはDPの蛍光を明瞭に認めた.免疫電顕による検討で,中間径フィラメント(IF)が肝細胞内に微細なネットワークを形成し,毛細胆管を支持する裏打ち構造も存在し,DPを標識する金粒子が細胞間接合部,毛細胆管周囲のIF上に多数存在していた.今回の研究から肝細胞の極性形成にIFに関連してデスモソームが重要な役割を担っていることが明らかになった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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