抄録
近年,血清タイプIIIプロコラーゲンアミノペプチド,ラミニンなどの線維化マーカーが開発されキット化されるに及び,その有用性が報告されている.今回,ラミニンと同様基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンの7S部分を抗原としたRIA法(7S-RIA)にて,肝生検を施行した各種アルコール性肝疾患患者102例および臨床的に明かな肝硬変症10例を加えた112例を対象として血清7S-RIA値を測定し,その意義について検討した.各種アルコール性肝疾患患者の血清7S-RIA値は健常対照群に比し有意に高く,なかでも肝硬変症では,他のすべてのアルコール性肝疾患に比し有意な高値を示した.血清7S-RIAは他の血清線維化マーカーや血液検査法に比し,肝線維化の程度と最も良好な相関を示した.血清7S-RIAの測定は,アルコール性肝疾患における肝線維化の不可逆性の診断に有用であるばかりでなく,血清ラミニンの測定と異なり肝線維化の早期診断にも有用と推測された.