31 巻 (1990) 8 号 p. 966-970
B型慢性活動性肝炎の2年8ヵ月に亘る経過中に4回の急性増悪を来し,その都度,α-フェトプロテイン(AFP)の著しい一過性上昇が認められた40歳男性例を報告する.急性増悪時の高度の自覚症状,DNA-ポリメラーゼ(DNA-P)の顕著な上昇にやや遅れて,AFP値は最高16,791ng/mlまで上昇し,高度の血清アルブミンの低下を伴っていた.4回目の急性増悪後seroconversionがみられた後は肝炎の鎮静化が得られ,AFPの上昇はみられなくなった.上昇したAFP亜種はConA結合LCA非結合型であった.AFPはB型慢性肝炎における急性増悪時の肝細胞障害に伴う肝再生過程で上昇したものと思われる.