肝臓
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脾静脈瘤(aneurysm of the splenic vein)を合併した肝硬変症の1例
松本 昭範大平 基之小野 稔金井 賀子大田 人可吉田 行範村住 ゆかり幸田 弘信石川 裕司長谷部 千登美矢崎 康幸関谷 千尋並木 正義
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32 巻 (1991) 5 号 p. 522-528

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抄録

脾静脈瘤を合併した肝硬変症の1例を経験したので報告する.症例は51歳の男性で,1985年8月に肝精査および食道静脈瘤治療のため当科に入院した.腹腔鏡および肝生検ではアルコールの影響も考えられる非B型肝硬変の所見であった.腹部CTでは膵体部背側の脾静脈に直径20mmの限局性嚢状拡張を認め,腹部血管造影で脾静脈瘤と診断した.食道静脈瘤に対し内視鏡的硬化療法を施行したが,肝不全が徐々に増悪し,1988年8月には肝癌も合併した.この間,脾静脈瘤はしだいに増大し,最大径45mmに達したが,血栓や破裂などの合併症はみられなかった.1989年6月2日に肝不全で死亡した.その剖検で血管壁の限局性菲薄化を伴う径45mmの牌静脈瘤が確認された.本例は,門脈系の静脈瘤のなかでは稀な脾静脈に生じた静脈瘤で,かつ,静脈瘤血管壁に限局性の菲薄化を認めたものであり,成因を考える上で貴重な症例と思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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