肝臓
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腎移植症例における肝病変の臨床病理学的検討
とくに胆管上皮の変化について
大部 誠奥平 雅彦渡辺 清治高井 智子金子 聡
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1991 年 32 巻 6 号 p. 625-632

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抄録

腎移植症例27剖検例,8生検例の肝病変について臨床病理学的に検討した.肝の主要病変は肝炎,肝硬変,肝細胞癌,肝静脈末梢枝の閉塞性病変,局所的肝細胞泡沫変性,胆汁うっ滞,肝血鉄症および小葉間胆管上皮の肝細胞化生であった.この中で,小葉間胆管上皮の肝細胞化生はこれまで注目されなかった所見であり,PAS陽性,ジアスターゼ消化後PAS陰性,アルブミン陽性,ケラチンおよびサイトケラチン陰性など肝細胞と同様の組織化学的性格を示した.胆管上皮の肝細胞化生は慢性腎不全や慢性活動性B型肝炎でも低頻度ながら出現していたが,肝細胞化生を示した腎移植症例では高率にγ-GTPの上昇を認めた.胆管上皮の肝細胞化生は生体にとってadverse reactionではないが,胆道系酵素の上昇を考える上で示唆に富む所見と思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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