肝臓
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ブタにおける肝動脈塞栓術後の肝内微小血管構築の変化
大草 昭彦吉岡 寛康小野 幸彦岡藤 龍正石田 修
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1991 年 32 巻 7 号 p. 700-707

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抄録

肝動脈塞栓術に使用される塞栓物質が,肝内のどの様な微小血管に変化をもたらしているかを明らかにするために,肝動脈塞栓術を施行したブタの肝内微小血管構築を走査型電子顕微鏡で観察した.
Lipiodol肝動注後には,胆管周囲毛細血管網を主とした毛細血管レベルでの障害が認められた.Gelfoam肝動注後には,径30μm前後の肝動脈末枝の閉塞と,側副血管の増生が認められた.約1mm角のIvalon肝動注では,肝動脈末梢部での変化はほとんど認められなかった.Degradable Starch Microspheresは,肝予備能への影響は少ないものとして一般的に使用されているが,胆管周囲毛細血管網の破壊が認められた事から,今後十分な検討が必要であると考えられた.
肝動注された塞栓物質の肝内微小血管に与える影響の一部が,走査型電子顕微鏡の観察で明らかになった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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