肝臓
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肝細胞癌腫瘍血管に関する病理学的研究
主に血管数について
枝光 理
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1992 年 33 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

5cm以下の切除肝細胞癌73例を用いて,腫瘍血管,特に血管数について検討した.腫瘍血管は,動脈類似のA型血管と静脈類似のV型血管に分類し,前者は,腫瘍径2cmまでは径の増大とともに増加し,それ以上では変化しないのに対し,後者は,3cmまではほぼ変化がみられず,3cmを越えると増加する傾向が認められた.また,A型,V型血管のいずれも,分化度が高い程少ない傾向にあった.血管造影上,腫瘍濃染像を呈さない群は,呈する群に比してA型血管が少ない傾向にあり,小さな肝細胞癌が,血管造影上,腫瘍濃染像を呈さないことが多いのは,腫瘍血管の形成が乏しいことも理由の一つであるものと思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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