肝臓
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血清抗liver/kidney microsome-1抗体とHCV-RNAが陽性を示した原発性硬化性胆管炎の1例
山崎 康朗杉本 元信朝倉 一郎川船 隆史羽鳥 知樹住野 泰清安部井 徹野中 博子松嶋 広宮地 清光
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1992 年 33 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

血清抗liver/kidney microsome (LKM)-1抗体陽性でHCV感染が確認された原発性硬化性胆管炎(PSC)の1例を報告する.症例は40歳,男性.上腹部痛,黄疸,肝機能異常の精査を目的に入院した.胆道系酵素の上昇(ALP 431mU/ml, γ-GTP 151mU/ml, LAP 95mU/ml)),高γ-globurin血症を呈し,抗核抗体陽性,抗LKM-1抗体陽性で,抗ミトコンドリア抗体と抗平滑筋抗体は陰性であった.抗HCV抗体陽性(EIA法O.D.値>2.5)で,PCR法によりHCV-RNAが検出された.超音波検査にて総胆管の壁肥厚と肝内胆管の軽度拡張を認め,ERCPにて肝門部胆管の不整狭窄像と肝内胆管の軽度拡張像および限局性狭窄像を認めた.肝生検組織像では,門脈域は炎症細胞浸潤を伴い拡大し,一部の胆管周囲に同心円状の線維化を認めた.これらのことから本例をPSCと診断した.血清抗LKM抗体の臨床的意義を考える上で示唆に富む例と考え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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