肝臓
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肝悪性腫瘍および腫瘍類似病変におけるglutathione S-transferaseアイソザイムの免疫組織化学的検討
佐藤 隆
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1992 年 33 巻 5 号 p. 390-398

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抄録

肝悪性腫瘍および腫瘍類似病変におけるglutathione S-transferase (GST)アイソザイムについて,GST-αおよびGST-πの特異抗体を用い免疫組織化学的に検討した.肝細胞癌28病変ではGST-αは60%に陽性を示し,高分化な例で陽性率が高かったが,GST-πは全例陰性であった.胆管細胞癌(CCC)10例ではGST-αは全例陰性であったが,GST-πは80%に陽性を示した.混合型4例の検討ではそれぞれの腫瘍の細胞群に応じて同様の傾向がみられた.腫瘍類似病変としてのfocal nodular hyperplasia 2例,adenomatous hyperplasia (AH) 5例,liver cell dysplasia 4例では,GST-αは全病変に陽性で,GST-πはAHの一部にのみ陽性を示した.以上のようにGST-πはCCCの大多数にみられるだけでなくAHにも認められ,GST-πがCCCの免疫組織化学的マーカーになり得ること,さらにAHを前癌病変として位置付け得る可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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