肝臓
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C型肝炎ウイルスの配偶者間感染の実態について
奥新 浩晃上田 久志藪下 和久森井 和彦木曽 尊彦森下 博文湯浅 志郎
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1992 年 33 巻 9 号 p. 667-676

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抄録

C型慢性肝疾患キャリアの配偶者50名(平均年齢50.3歳,平均結婚期間24年9ヵ月)を対象にHCV抗体(1st, 2nd ELISA法), HCV RIBA IIおよびHCV-RNAを測定し,HCVの配偶者間感染の実態について検討した.
対象者50名はHCV抗体測定により,1st HCV抗体陽性群(全例2nd HCV抗体陽性)10名(20%),2nd HCV抗体のみ陽性群6名(12%),両者共陰性群34名(68%)の3群に大別され,2nd HCV抗体陽性率は50名中16名32%と高率であった.2nd HCV抗体のみ陽性群6例は,いずれもc22-3が強陽性を示すもs-GPTは正常で不顕性感染例と考えられ,そのうち少なくとも3例はHCV RIBA IIが陽性を示し無症候性キャリア状態で,C型肝炎発症の前段階に相当する可能性が示唆された.
以上,2nd HCV抗体,HCV RIBA IIの測定はHCVの不顕性感染例の検出,病態解析に有用であり,高率に肝障害を合併する1st HCV抗体陽性群と併せ,C型慢性肝疾患キャリアの配偶者はHCV感染のhigh risk groupに属するものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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