肝臓
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肝硬変ラットの門脈圧亢進に対するisosorbide dinitrateの効果
澤 美彦
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1992 年 33 巻 9 号 p. 677-684

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抄録

ヒト肝硬変と同様の組織像,門脈圧亢進,splanchnic hyperdynamic circulationを示すthioacetamide投与肝硬変ラットを対象に,isosorbide dinitrate (ISDN)の肝および全身血行動態への効果について検討した.ISDNは門脈-側副路血管抵抗を減少さすことにより,肝硬変ラットの門脈圧を下降させた.門脈圧下降作用はISDN 1μg/kg bw/min投与より生じ,投与濃度を増加してもその下降の程度に変化はなかった.ISDN 1μg/kg bw/min投与時には肝血流量や末梢血圧の変化はみられなかったが,100μg/kg bw/min投与時には,シャント血流増加による肝血流量の低下や低血圧が出現した.対照群と肝硬変群でISDNの効果は異なっていた.ISDNは肝硬変ラットにおいて肝血流量の減少や全身血行動態の変動を認めないような低濃度で,門脈圧を降下させた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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