肝臓
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肝癌の肝動脈塞栓術後のPIVKA-IIとAFPの推移
腫瘍壊死効果との相関の比較および実測半減期の比較
岸 和史園村 哲郎光実 淳佐藤 守男山田 龍作
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1992 年 33 巻 9 号 p. 692-698

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抄録

血漿PIVKA-IIと血清AFPの両方が陽性であった未治療の切除不能肝癌患者26名でTAEの術前から術後の各週のPIVKA-IIとAFPの推移,および1週めのX線CT像の腫瘍壊死率の関係を検討した.TAE後1週めでは腫瘍壊死率にPIVKA-IIの推移が有意に相関(γ=0.7)したが同じ時期のAFPの推移は腫瘍壊死率に相関(γ=0.2)しなかった.TAE後2, 3週めはPIVKA-II, AFPとも有意に相関した.TAE後腫瘍壊死率90%以上の16例におけるPIVKA-IIの実測半減期(AHL)は44時間が最短で,すべてのAHLのうちの75%はTAE後2日めから4日めの間に集中し平均のAHLは3.2日であった.一方AFPのAHLは2.98日が最短でまばらに分布し平均は6日であった.またこれらの肝癌TAE後のPIVKA-IIとAFPの推移の特徴の違いからTAE後1週めの効果判定にはPIVKA-IIがAFPより有用であることが示唆された.またこれらの結果は肝癌TAE後の効果判定におけるPIVKA-IIとAFPの有用性を支持すると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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