肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
慢性肝疾患における“こむら返り”について
小林 良正中島 猛行河崎 恒久松本 裕子松本 正廣吉見 輝也石井 英正竹平 安則金井 弘一
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 34 巻 12 号 p. 960-964

詳細
抄録

慢性肝疾患176例(肝硬変80例,慢性肝炎96例)と健常者142例を対象とし,アンケート調査にて,“こむら返り”(以下MC)の出現状況を調査した.MCが週1回以上出現する頻度は,健常者の7%に比し,肝硬変では31%と高く,肝硬変の重症度が高くなるに従いその頻度も有意に増加した.慢性肝炎と健常者との間には,MCの出現頻度に差は認められなかった.肝硬変において,MCの出現頻度と利尿剤投与の有無,血清電解質(Na, K, Cl, Ca),耐糖能との間に関連はなかった.週1回以上MCが出現する肝硬変18例に塩酸エペリゾン150~300mg/日を8週間投与し,11例(61%)にMCの消失を認め,6例(33%)にMCの減少を認めた.塩酸エペリゾンは,主として,脊髄レベルにおいて,脊髄反射を抑制する筋弛緩剤であることから,肝硬変に伴うMCの出現には,脊髄を含めた神経レベルの障害が関与している可能性が考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top