肝臓
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HCV (C100-3)抗体スクリーニング後の輸血例におけるHCV感染状況と病態に関する研究
本田 浩仁日比野 真吾林 広茂清水 一郎伊東 進
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1993 年 34 巻 2 号 p. 105-113

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抄録

輸血血のC100-3抗体スクリーニング後の輸血血におけるHCV感染状況と病態について検討するため,経時的に観察し得た輸血例209例につき各種HCV抗体(C100-3抗体,GOR抗体,第二世代抗体)を測定した.
209例のうち,確診例は7例(3.3%),疑診例は15例(7.2%)あり,なんらかのHCV関連抗体が陽転化したのは確診例で4例,疑診例で3例あった.HCV関連抗体が陽転化した症例は,すべて術後4週以後にALT値のピークがあり,術後4週以内の一過性の上昇のみの場合は,HCV関連抗体が陽転化した症例はなく,手術に起因するALT値の上昇の可能性が強いと思われた.また,抗体陽転化例において,確診例の方が疑診例よりHCV関連抗体の陽転化の時期は早く,ALT値も高くO.D.値も高い傾向が認められた.この事実は,感染したウイルス量に起因すると推察された.さらに,HCV抗体の成績を導入した新しい診断基準の作成が必要と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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