肝臓
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肝部分切除ラットにおける分泌蛋白アルブミンの動態について
柏谷 亘
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1993 年 34 巻 2 号 p. 150-155

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抄録

ラット部分肝切除後の分泌蛋白アルブミン(Alb)の動態を検討するため,肝組織中のAlb免疫陽性反応および肝細胞の微細構造の観察と血清Alb値の測定を経時的に行い,組織中Alb合成への3H-leucine取り込み能をあわせて測定した.肝切除後のラット血清Alb値は,2,5日目に比し,10日目で高値を示した.免疫組織化学による組織中のAlb陽性反応は,すべての肝細胞に淡く瀰漫性または小顆粒状にみられ,5日目で最も濃染または増加した.細胞内Alb陽性反応は,全経過中粗面小胞体(r-ER)とGolgi装置にみられ,細胞内r-ERは,5日目でより発達し,画像解析による細胞質あたりのr-ERの面積比は5日目でより高値を示した.経静脈的に投与した3H-leucineの肝細胞内cytosol中の合成Albへの取り込みについては,2, 10日目に比し,5日目でより高値を示した.以上のことから部分切除後の再生肝における組織中の蛋白合成は経時的に変化し,5日目でピークを示し,血清Alb値は遅れて増加すると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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