肝臓
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慢性肝疾患における血清ヒアルロン酸測定の臨床的意義-とくに肝線維化との関連-
中林 仁美高松 正剛辻井 啓之坂本 貞和岡本 康幸中野 博
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1993 年 34 巻 6 号 p. 452-456

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抄録

血中のヒアルロン酸(HY)は,主として肝類洞内皮細胞で分解される.慢性肝疾患,とくに肝硬変では類洞壁の基底膜化が見られ内皮細胞の機能が障害を受けると考えられている.今回,血中HY濃度と肝線維化の程度の関連を検討するため,ウイルス性慢性肝疾患47例につき,肝生検標本の画像解析により定量した肝内コラゲン量と血中HY濃度の相関を求めた.その結果,全症例で相関係数r=0.636 (p<0.001)と有意な相関を認めた.疾患別に見ると,慢性非活動性肝炎群(8例)では,r=0.424で統計学的に有意な相関は認められなかったが,慢性活動性肝炎群(33例)では,r=0.413 (p<0.02)で有意な相関を認め,肝硬変(6例)ではr=0.631で相関傾向は認められたが有意ではなかった.これらより,ウイルス性慢性肝疾患において線維化の進行に伴って類洞内皮細胞の機能障害が進行することが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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