先天性銅代謝異常を伴うLEC (Long Evans Cinnamon)ラットの肝炎肝癌発症経過における肝細胞の核DNA ploidyを解析した.肝炎を発症しないLEAラットを対照とした.LECラットのDNA ploidyは生後2ヵ月まではLEAラットと同様であった.3ヵ月の急性肝炎期にoctoploidが出現し,肝炎の増悪とともにpolyploid化した.劇症化し黄疸になると,tetraploid及びoctoploidは激減しdiploidのみとなった.組織学的には,3ヵ月齢より多核や巨大異型核を持つ肝細胞が出現し,黄疸期では肝には広範壊死が見られた.肝内銅蓄積は生下時より異常高値を示し,3ヵ月齢では対照ラットの50倍以上に上昇した.発癌期では肝内銅濃度は異常高値を持続し,炎症細胞の浸潤と多数のoval cellの増殖が見られた.対照ラットではtetraploid優位だが,LECラットではdiploid優位で有意にtetraploidの減少とoctoploidの増加をみた.肝細胞癌ではdiploid, polyploid, aneuploidのすべての分布をみせた.