肝臓
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特発性門脈圧亢進症の経過中に小腸狭窄,肝性脳症をきたした1症例
芹澤 淳中村 達西山 雷祐今野 弘之馬場 正三室 博之伊藤 以知郎石井 英正
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34 巻 (1993) 9 号 p. 728-734

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抄録

特発性門脈圧亢進症(以下,IPH)に,小腸狭窄と肝性脳症が発生した1例を報告した.症例は59歳の女性で,3年前(1988年)に食道静脈瘤に対して食道離断及び脾摘術を受け,IPHと診断された.1年前より肝性脳症を伴うイレウス症状を繰り返し起こすようになった.高アンモニア血症を認めたが,血管造影では明らかな門脈大循環シャントは見られなかった.1988年の画像診断所見と比較すると,肝内門脈枝や腸管膜静脈の著明な狭小化や蛇行がみられた.開腹術を施行し,下部小腸に狭窄を認めたため同部を切除し,肝生検も行った.病理組織学的には,腸管の狭窄は潰瘍瘢痕によるもので,腸管壁の静脈には内膜の肥厚がみられた.肝では門脈域の線維化や末梢門脈枝の狭小化がみられた.
本例のように,腸間膜静脈の変化を伴い小腸狭窄に至ったIPH症例の報告はなく,本症の病態を考える上で示唆に富む症例と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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