1994 年 35 巻 2 号 p. 157-162
症例は52歳,女性,1992年12月20日,感冒様症状出現,GOT 932KU, GPT 963KU, T. Bil 6.9mg/dl,急性肝炎の診断で近医入院した.経過良好で1カ月後退院.翌年3月15日,再び肝障害増悪,当院入院となった.入院時,意識清明,肝脾触知せず,黄疸,腹水,浮腫を認めた.GOT 753KU, GPT 394KU, T. Bil 29.3mg/dl, WBC 2,900/mm3, Hb 11.6g/dl,血小板3.3万/mm3,プロトロンビン時間26.4%,自己抗体陰性,A, B, C型肝炎および急性肝障害をきたすウイルスマーカー陰性で,非A非B非C型亜急性肝炎および肝炎後再生不良性貧血と診断した.両疾患とも治療に反応せず,真菌感染症,DIC併発,4月8日死亡した.死後肝組織では,亜広汎壊死,Giant-Cell Hepatitisを呈し,電子顕微鏡で,パラミクソウイルス類似のパーチクルを認め,Phillipsの提唱するSyncytial Giant-Cell Hepatitisと診断した.本邦初の報告で考察を含め報告する.