肝臓
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硬変肝の部分切除後における肝細胞の再生機序に関する検討
猪口 正孝渋谷 哲男庄司 佑浅野 伍朗
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1994 年 35 巻 3 号 p. 207-215

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抄録

Thioacetamide投与ラット硬変肝を用い2/3の肝切除後における細胞,細胞外基質と増殖因子の動態について形態学的,免疫組織化学的に観察し検討した.肝切除の7日後に類洞の開大とKupffer細胞の増殖,3週後に類洞の狭小化,5週後には類洞の再開大とKupffer細胞の減数をみた.肝細胞のBrdU摂取率(LI)の最高値は正常肝で22.0±3.0%を示したが,硬変肝では12.3±1.7%にとどまった.S期細胞の分布は正常肝で辺縁部と中心部に差異があり,硬変肝では偽小葉内に不規則な局在を示した.増殖因子のbFGF, EGFは硬変肝で不均一に分布し,TGFβ1は硬変肝では持続的な局在を示した.細胞外基質ではI・III・IV型コラーゲン,ラミニン,フィブロネクチンの局在に肝切除前後で著変を認めなかった.以上より,硬変肝では細胞外基質に著変はなく血行動態の変化による増殖因子の非効率的供給とTGFβ1等の増殖抑制因子の持続的存在により,肝細胞の増殖能が減弱していると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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