肝臓
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CAH-PBC mixed typeとして観察されていたHCVRNA陽性の原発性胆汁性肝硬変の1例
加藤 充朗荻野 英朗鍛治 恭介寺崎 修一河合 博志柳 昌幸松下 栄紀卜部 健金子 周一鵜浦 雅志小林 健一中沼 安二木谷 恒
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1994 年 35 巻 4 号 p. 297-301

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抄録

症例は53歳,女性.昭和61年に皮膚掻痒感を伴う原発性胆汁性肝硬変(PBC),Scheuer分類stage Iと診断し経過観察中であったが,3年後全身倦怠感の出現と肝機能検査成績の増悪を認めた.再度の肝生検にて,ピースミール壊死など著明な肝炎性変化を認め,CAH-PBC mixed typeに矛盾しない組織所見であった.ウルソデオキシコール酸(UDCA)治療が開始されたがトランスアミナーゼ値の改善は認められず,治療開始2年後に行った肝生検ではグ鞘炎の改善はみられたがピースミール壊死などの肝炎性変化の改善は得られなかった.保存血清を用いたHCV関連マーカーの検討では,第2回生検時に第2世代抗体陽性,HCV-RNA陽性であり,HCV感染を合併したPBCと診断した.本例はCAH-PBC mixed type類似の組織所見を示した点,またUDCA療法が無効であった点で興味深い症例と考え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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