肝臓
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自己免疫性肝疾患の病態生理学的研究
患者リンパ球注入SCIDマウス肝におけるヒトサイトカイン遺伝子の発現
木村 泰彦Syed Ahmed Morshed西岡 幹夫
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1994 年 35 巻 7 号 p. 518-526

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抄録

自己免疫性肝疾患患者および健常人から得られた末梢血単核球(PBMC)をsevere combined immunodeficient (SCID)マウスに注入し,マウスの血液生化学所見,肝組織所見を検索するとともに,マウス肝組織におけるヒトサイトカイン遺伝子の発現をRT-PCR法を用いて調べた.ヒト免疫グロブリン(Ig)の産生は自己免疫性肝炎(AIH)群が原発性胆汁性肝硬変症(PBC)群および健常人群に比べて有意に高かった.肝組織所見では,全群において移植細胞対宿主(GVH)反応と思われる門脈域へのリンパ球浸潤がみられた.これはPBC群において顕著で,同群においては胆管破壊も認められた.SCIDマウスにおけるヒトサイトカイン遺伝子の発現では,IFN-γが全例で検出され,IFN-γはGVH反応において重要であると思われた.IL-6の発現の強さはマウス血清Ig値と正の相関を認めた,また,IL-1βの発現は胆管破壊との関連が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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