35 巻 (1994) 8 号 p. 609-616
四塩化炭素投与ラットを用い,肝細胞傷害後の修復過程におけるフィブロネクチン(FN)の産生動態についてそのアイソフォームに着目し,免疫組織化学的および分子病理学的に検討した.血漿型フィブロネクチンを産生,分泌していると考えられている肝臓において,細胞性フィブロネクチンは肝細胞,非実質細胞の両者で産生されており,類洞壁や門脈域に存在していることが確認された.傷害肝においてその産生は7日,14日で著しく増加しており,21日,28日には線維化巣内の非実質細胞とその周囲の肝細胞に豊富な局在を示した.また,対照肝,傷害肝を通してそのアイソフォームパターンはED-A+ED-B-であり変化しなかった.以上,細胞性フィブロネクチンが正常肝組織において類洞壁の構築や細胞の移動,増殖などに寄与していると共に,肝細胞傷害後の線維化に強く関与していることが示唆された.