36 巻 (1995) 11 号 p. 633-639
千葉県富浦町の地域住民1,315例を対象とした集団検診において,HCV抗体(C100-3抗体,N-14抗体)陽性であった200例のうち51.5%は肝機能(血清AST,ALT値)が正常であった.またその中から9年間にわたって経年集検を受けた166例を追跡調査し,肝機能の経過により持続正常型,変動型,持続異常型の3型に分類したところ,それぞれ27.7%, 57.8%, 14.5%を占めた.感染原因についてみると,持続異常型で感染原因が明らかな例の比率が高かった.また輸血歴を有する例および手術歴を有する例にて,感染機会後の長期経過により変動型が減少し,持続正常型または持続異常型の比率が増加する傾向を認めた.さらに持続正常型46例の中から16例を抽出し検討したところ,HCV-RNA陽性で慢性肝炎の組織所見を認める無症候性キャリアとHCV-RNA陰性で組織所見がほぼ正常の既感染を示唆する例が,半数ずつ存在した.また,前者は後者と比較してAST, TTT, ZTTが高値を示した.