肝臓
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家族性高ロイシンアミノペプチダーゼ血症の1例
特発性高arylamidase血症の1家系
宮岡 弘明岡田 武志田中 昭
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1995 年 36 巻 12 号 p. 729-734

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抄録

稀な家族性高leucine aminopeptidase (LAP)血症症例を経験した.症例は22歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘され受診.LAPのみ著明に増加し他の肝機能検査は正常範囲内であった.電気泳動による解析ではα1-globulin位に活性が認められた.LAP分画の酵素活性を測定するとLAP活性の大部分はarylamidaseであった.家族調査を行うと,父親のLAPは正常範囲内であったが,母親と弟のLAPは高値であり,家族性の高LAP血症であった.肝組織は正常肝組織であった.胸部異常陰影は肺結核症であった.抗結核剤投与で胸部陰影は消失したが高LAP血症は持続した.基礎疾患の無いいわゆる特発性高LAP血症症例の本邦報告例は本症例を含めて7例で,7例中3例が愛媛県松山市周辺で発見されている.また特発性高LAP血症は欧米では報告されておらず日本に特有な症例と思われたので報告する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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