37 巻 (1996) 12 号 p. 723-730
進行した肝硬変や肝細胞癌合併肝硬変に併発した治療抵抗性の難治性腹水例に対し,Denver peritoneovenous shunt (Denver Biomaterials社製,以下Denver PVS)を留置し,その有用性及び合併症について検討した.対象:昭和大学病院第2内科にてDenver PVSを留置した非代償性肝硬変8例(HCV抗体陽性5例,アルコール性1例,うっ血性1例,原発性胆汁性1例)で,年齢は39歳から74歳(m±SD=55.6±11.4歳),性別は男性4例,女性4例である.PVS留置前の合併症として肝細胞癌を4例に,慢性腎不全(人工透析中)を1例に認めた.結果及び考察:腹水はPVS留置早期より減少し,著明な症状の改善がみられ,肝,腎機能に著明な影響はなく,quality of life (QOL)の改善が得られた.しかし生存期間の延長は得られず,合併症として心拡大,凝固系の変化を認めた.また感染症の合併が生存期間に大きな影響を与えることが示唆され,厳重な全身管理と感染予防が必要と考えられた.