1997 年 38 巻 12 号 p. 707-712
症例は53歳女性C型慢性肝炎 (CHC) に対するインターフェロン治療目的で入院入院時検査ではGOT 59, GPT 79, HCV RNA陽性, CRP 0.5, WBC 2, 270, ESR 12mm/hrであった入院後エコーでは肝S7に境界不明瞭な内部lowの径1.5cm大のSOLを認め, 単純CTでlow density, 造影後早期像で辺縁が強くリング状に造影, MRIでT1 low, T2 high, dynamic studyで辺縁がリング状に濃染されるSOLとして描出された非腫瘤部は慢性非活動性肝炎, 腫瘤部は狙撃生検組織からinflammatory pseudotumor (IPT) と診断したIPTは良性で経過中に腫瘤が退縮することもあり, 経過観察したところ第64病日のエコー, CTでは腫瘤は著明に縮小し, 第78病日のエコー, MRIでは腫瘤は消失していた.
近年, 画像診断の進歩により肝内小結節性病変が数多く検出され, 種々の腫瘍性病変との鑑別が重要となっている今回私共はCHCに合併した無症状の肝IPTを経験したので報告する.