肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝内門脈瘤の一症例
永井 英成岡島 存男窪田 学石井 耕司山室 渡羽鳥 知樹住野 泰清野中 博子
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 38 巻 12 号 p. 718-724

詳細
抄録

肝内門脈瘤の一例を経験した. 症例は53歳, 女性. C型肝硬変に伴う食道静脈瘤の加療のため当院に入院となった. 腹部超音波検査にて, 門脈臍部に直径24×26mm, 上内側区域枝に10×8mmの門脈と連続性を持つcystic lesionが描出され, カラードプラー検査で内部に血液の渦流を確認, 肝内門脈瘤と診断した.
本例は手術や外傷の既往がなく, また門脈圧亢進を合併しているにもかかわらず門脈瘤の大きさは他院での1年前の超音波所見と比較して変化がなかった. このことから後天的成因は否定的であり, また門脈圧亢進が直接成因になるとも考えにくく, 先天的成因の可能性が高いと考えられた. 門脈臍部に発生した門脈瘤は稀で, さらに門脈圧亢進を合併したものは本邦では過去に1例の報告をみるのみである.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top