1997 年 38 巻 2 号 p. 67-76
C型慢性肝疾患における線維化の進展とインターフェロン (IFN) 治療効果との関連を明らかとする目的で, TGF-βと平滑筋型αアクチン (α-SMA) の免疫組織染色を行い, それぞれの産生細胞の同定と組織学的検討を行った. TGF-β1とα-SMAは線維化の部位に一致して染色され, TGF-β1の主たる産生細胞は活性化した伊東細胞であると考えられた. 一方, TGF-β2と-β3は線維増生部位での炎症性浸潤単核細胞において弱く発現を認め, TGF-β1とは異なる生理作用が示唆された. TGF-β1の組織内発現の程度は, Scheuerの線維化の程度との間に統計学的に強い相関を認め, 門脈域壊死炎症反応の程度との間にも相関を認めた. IFN投与例の検討では, TGF-β1およびα-SMAのスコアがいずれも3の症例においては有効例は認められなかった. TGF-β1とα-SMAの組織内発現の程度は, IFN治療効果の予測因子の一つとして有用である可能性が示唆された.