肝臓
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原発性胆汁性肝硬変の胆管障害発生機序における樹状細胞の役割
免疫組織学的検討
玉井 徹城 知宏中川 泰一伊藤 隆之今村 正人西村 章関 寿人井上 恭一岡村 明治
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1997 年 38 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

原発性胆汁性肝硬変 (PBC) の胆管障害発生機序における樹状細胞の役割について免疫組織学的に検討した. 対象は臨床病理学的にPBCと診断された15例である. 慢性非化膿性破壊性胆管炎 (CNSDC) を伴う障害胆管周囲にはCD4, CD8陽性細胞の密な浸潤が観察され, 一部の障害胆管ではCD8陽性細胞の胆管内侵入像が観察された. B細胞の門脈内浸潤はT細胞の浸潤数に比べ明らかに少数であった. PBC肝組織における樹状細胞の浸潤は, C型慢性肝炎例と異なり, リンパ濾胞性樹状細胞 (FDC) は殆ど観察されなかった. 一方, 相互連結性細胞 (IDC) はstage I・IIの12例中10例に観察され, stage III・IVの3例には観察されなかった. またIDCは障害胆管周囲に分布していたが, 一部のIDCでは障害胆管とのcontactが確認された. 今回の検討より, PBC発症の初期段階で, IDCが抗原提示細胞としてT細胞を活性化し, T細胞性の免疫系を介し, CD8陽性細胞による標的胆管障害を惹起させると推測された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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