肝臓
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心室性頻拍を合併した自己免疫性肝炎の1例
西田 泰之川野 充弘土谷 武嗣源 雅弘村本 弘昭岡田 俊英紺井 一郎竹田 康男馬渕 宏野々村 昭孝
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1997 年 38 巻 5 号 p. 331-336

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抄録

症例は62歳の女性. 急性肝炎と心室性頻拍の診断にて入院. 各種自己抗体 (抗平滑筋抗体, 抗核抗体, 抗RNP抗体) と肝生検所見により自己免疫性肝炎と診断された. ステロイド投与により, 自己免疫性肝炎のみならず心室性頻拍も改善した. また, 急性期に認められていた123I-BMIPP心筋シンチグラフィーの前側壁および後下壁の集積低下は, 肝炎とともに改善した. 以上の臨床経過より, 本症例の心室性頻拍も自己免疫性機序により引き起こされた可能性が示唆された.
不整脈を合併した自己免疫性肝炎の報告はなく, その両者の発症に自己免疫の関与が考えられ, 極めて興味深い症例と考えられた. また, 自己免疫性の心筋障害において123I-BMIPP心筋シンチグラフィーは, 潜在性の心筋障害をも反映し得る有用な検査と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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